酒よ


 酒の席、皆と別れた後の帰り道は心地よい孤独感に身を包んで歩く。疎外されている感ではなく、寂しいというのとも少し違う。
 自分と人は違う、という確かな感覚を確認する。人と人も違う、というのも見る。そうでなく一体感をお互いに感じているらしき人たちも見るけど、あまりそういうのは大人じゃないなと思う。まあすべての人が大人である必要はない。にしても、あまり酒の場というのには自分は向いていない気はする。向いてないなりにこなして、気に入られてばんばんたたかれる。
 大人だとか尊敬するとか口々に言われると、あんまりそういう面を見せないでいたいと反省する。そういう内輪の集まりからさえもちょっと距離を置きたいのは、たぶん私のわがままなんだろうけど、人への憎しみでもなくさげすみでもなく、迷惑をかけない範囲でのささやかなわがままだから、許されるだろうとも思う。


 祈るともなく目を閉じて静寂に一日聴き入っていたい。

 別に実用的でもない本をゆっくりと読んでいたい。

 なかなかそうもいかない。だからなのか、雑踏の中でも、ふっとその感覚を持つ。