身辺整理


 というと実際より狭い意味の事態をさすことになる。もっと周辺事態です。(昔の流行語)


 色々捨てたり整理したりしてるんだけど、えりまきとかげのコインが出てきた。

 えりまきとかげのコイン。簡単な説明の紙も入っている。こんなもん自分で買うわけないんだけど、どういうシチュエーションで手に入れたかだとか、もうまったく忘れた。忘れてるだけに、その頃から今までの年月を思い返してなんだか泣きそうになる。

 文房具にしても変に思い出とかまとわりついて捨てられないものも多い。まとわりついている思い出そのものは別に変ではない。こんなものに記憶がこびりついているんだなあというのが変な感じがする。

 そういったものどもを色々捨てたり整理したりしています。


 前に松本隆が新聞の特集で、自宅の部屋にぽつんと座っていた。それを少し遠くから写す写真。風とか都市とか、そういううつろで透明な感じの言葉が好きな彼に、その部屋はよく似合っていた。よく似合いすぎていてちょっと嘘っぽいぐらいだった。部屋の壁の全面がガラス張りになっていた。
 寒々としたその部屋で居心地が良さそうにスタイリッシュで無彩色な椅子に座っていて、でもちょっと人の住む部屋には思えなかった。

 思えなかったけど、いま私が目指しているのはそっち方向です。