さびれかけた道を


 てくてく歩いていたら、まっすぐな目をした茶髪のさわやかいけめんが自転車を降
りて「すいません」と話しかけてきた。


 なんと新聞の勧誘でした。普通の全国紙。
 断ったら素直に去っていったよ。解せない。


 いまどき珍しいさわやかいけめんなのでストリート勧誘も有効かもしれないが、
そういう間違った学習はしてほしくないものだ。
 あるいはなにか月末でノルマにせっぱ詰まっているのかも。
 大変だなと思うが、そんなバイトには早々と見切りをつけたほうがよいと思う。


 帰りがけにまた見かけた。自転車に乗っていた。
 なんとなくお互い目をそらしてやり過ごした後、なんだかやりきれない気分でそん
なことを考えた。