ふぉくとのけん

 全巻読破しますた。もうねえ、泣いた。上向いて読んでたら涙が横に流れて耳に入ってちょっとうけた。

 真の意味での愛の物語ですよ。今回はじめて気づいたけど、明らかにキリスト教を意識した逸話が多かった。シュウとかもそうだけど、最後のほうの、三人の息子が改心した後に入った国での話などは明らかにそう。

 残酷なシーンはなんか途中で飽きてきて読み飛ばしがちだったし、ちょっと閉口したけど、ラオウを倒した後の話もあれこれよかった。ラオウとかを引き合いに出し過ぎだったし、ケンシロウのすごい強さを物語の中でもてあましてたけど、でもよかった。

 どこがどうよかったとか個別のエピソードについて書くのはちょっと鼻につくだろうからやめとくけど、愛とはいちゃいちゃなどでなく、ましておぼれるべきものでもなく、ただ静かで強い、壮絶なまでの意志というか。我を捨てて。うん。義に生きること、あるいは義に生きるというこだわりすら必要ならば捨てること。

 とかいって全然いえてないけど、そのときの自分に応じて本から得られるものは全然違うんだなあという感じ。
 著者が気づいているかどうかにかかわらず、ある種の豊かなメタファーのようなものが、優れた(『はてしない物語』のような意味での)物語にはたくさん蒔かれているとおもった。